2021年「メタバース」「NFT」が流行したのは記憶に新しいですが、2022年は「DAOの年」という声もちらほら聞かれます。今回はDAOについて掘り下げていきます。
Decentralized Autonomous Organizationの頭文字を取った略語で、「ダオ」と発音されます。文字通り、構成するメンバーが自立的に動く非中央集権的な組織のことです。簡単に言うとトップのいない株式会社や国家のようなものです。
の2点です。それぞれについて少し詳しく見ていきます。
スマートコントラクトという、ブロックチェーン上に保存した自動実行型のコードによってDAOが成り立ちます。例えば報酬規定など組織運営に関わる契約をプログラムしておくことで、管理者がいなくても組織を運営することが可能になります。プログラムされたスマートコントラクトは改ざんが不可能で、コードの内容は誰もが閲覧することができるので透明性があります。スマートコントラクトは「Solidity」「Vyper」「LLL」「Serpent」「Bamboo」といったプログラム言語で実装することができます。
結論ケースバイケースです。DAOにおいては、DAO内でのトークン保持者による提案や投票によって意思決定をするため、多くの人の意見を反映させることができます。一方で都度投票を行うと意思決定が遅くなるデメリットがあります。組織は何かの目的を達成するために集まっている集団なので、組織の目的に併せて今後様々なDAOのユースケースが出てくると思います。
インターネットにアクセスする環境があれば世界中誰でもDAOに参加することができます。Discord上にDAO内のやりとりは公開されていて、誰でもそのやりとりを見ることができます。DAOに貢献したいと思えば、それぞれの報酬設計によりますが、公開されているタスクをこなすことで、報酬をガバナンストークンなどの形で受け取れることが多いです。
法整備整っていないことが大きな課題の一つです。そのため今後規制対象となる可能性があります。株式会社であればその国の法律に従いながら運営されますが、DAOは国境を超えて運営されているので既存の法律の枠からはみ出ています。今後何らかの法規制が加えられる可能性がある点は理解しておく必要があります。また、ガバナンスの問題も大きな課題です。DAOに貢献する人ほどガバナンストークンを多くもらっているので、DAO内で権力が大きくなります。(投票権に重みが生じる)そうなると中央集権的な構造になり、本来の自立分散型組織とは異なるものになる可能性があります。
数年前からDAOという概念はありましたが、直近話題になっている理由の一つに、ビッグ・テックに対しての不満が高まっていることがあげられると思います。アメリカのビッグ・テック(GAFA等アメリカのテクノロジー企業)の多くはプラットフォーマーとしてこれまで莫大な収益を得てきましたが、その収益の多くは広告によって得ていました。アルゴリズムを磨きできるだけ多くのユーザーを長い時間プラットフォームに滞在させることで、プラットフォームの広告価値を上げることに成功しましたが、その収益をユーザーやクリエイターにあまり多く還元してきませんでした。確かにビッグ・テックの提供するサービスによって多くの人の生活が豊かになったことは事実ですが、ユーザーは個人情報を、クリエイターは収益をプラットフォーム側に搾取されている構図に気づきました。例えばInstagramで多くのフォロワーを抱えて影響力を持ったとしても、Instagramから直接収益を上げることは難しいです。(企業タイアップなどで間接的に収益を上げることは可能です)結果、プラットフォーマーたちは潤い、2021年8月末にはGAFAの時価総額が日本株全体の時価総額を上回るほどまでに膨れ上がりました。このようなビッグ・テックを初めとした中央集権的な株式会社が抱える課題を、DAOが解決できるのではと期待が高まっている状況です。
DAOはあくまで組織形態の一つであり、何でも叶えてくれる魔法の杖ではありません。何か達成したい目的があり、そのHOWとして「株式会社」や「DAO」を選択し推進していくことがあるべき姿です。今後失敗事例、成功事例様々出てくると思いますので引き続き注目していきたいと思います。